2022年11月26日

心遣い 見えれば野暮

 
 京都には「御三家」と呼ばれる老舗旅館があります。「俵屋旅館」は国内外から数々の著名人を迎えてきたそうで京都の歴史と文化に根付いた「しつらえ」が魅力だといわれています。どの客室も敷地内にある庭のいずれかが見通せ、古都の自然を私的な空間として楽しめるそうです。こうした庭や建具は京都の職人の手によるものばかり。食材も地元の農家や業者から届けてもらうそうです。庭側の引き戸が全面ガラス張りで断熱性の高い厚さ約1センチの特注品という社長の佐藤守弘氏(56)は京都の職人の高い技術があってこそだと言われます。守弘氏の母で当主の年(とし)さん(90)は 「もてなしも過ぎれば暑苦しい。人への心遣いも見えてしまえば野暮だ」 と語られたそうで、この言葉に長年培われた真髄を感じました。

 さらに 「柊家」 「炭屋旅館」 にも共通するものがあります。柊家を定宿とした作家の川端康成さんは 「昔から格はあっても、ものものしくはなかった。柊屋は古都の一つの象徴であろう」と書き残されています。京都で洗練された茶の湯は、古いものや簡素なものの中に美や心地よさを見いだす精神を培ってきました。五つの茶室があり、茶の湯の宿として知られる炭屋の女将、堀部寛子さんは 「京都のおもてなしの心底には、お茶の心が流れている」と解き明かされました。

 この記事を読んだときに驚いたのは、コロナ禍に少し慣れた頃に車でよく京都市内を回ってもらい案内してもらったのが、俵屋旅館の後ろ側にある「遊形」 というショップでした。素敵な小物が並んでいる可愛い空間でした。旅館には泊まったことはないですが、石鹸が気に入り我が家の洗面台に置いています。陶器の石鹸置きがとても気に入っています。

 そしてごく最近ですが、テレビの番組を見て柊屋旅館で使っているやはり石鹸を知りました。そのお店も直ぐに連れてもらいました。「京都しゃぼんや」 という京都の町屋をリフォームしたお店、色々お話をしながら、こだわりの石鹸を買ってきました!オリーブ果実油、ヒノキ油、ヤシ油、マカデミア種子油などで作られた、とてもすっきりと気持ちいい使い心地です。

 海外のホテルで20年経験を積み、昨春、ハイアット系ホテルの総支配人に就いた豪州出身のマシュー・キャロルさんは8年前の来日時に京都の文化に触れ、京都勤務を熱望してきました。彼女は「京都のおもてなしは、海外のホスピタリティーに比べて文化的に深いレベルにある。我々もゲストが求めるより一歩進んだサービスを提供していきたい」と意気込んでいるそうです。私も京都で生まれ育ち、京都の風情をとても愛してきましたので、とても幸せな気持ちになりました。

URL http://www.shintaisou.jp/
posted by 津田 美智子 at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記