2022年07月24日
音の世界と表現の世界
読売新聞を購買されている方は、昨日からの「母なればこそ子と歩む」の記事を読まれているかと思いますが、昨日「上」、今日は「中」と連載です。続きが楽しみですが、ピアニスト・辻井伸行さんを育てた辻井いつ子さん(62)の取材文です。伸行さんを1988年9月に待望の第一子として授かりましたが、いつまでたっても目を開けてくれない我が子が、先天性の「小眼球症」と産婦人科医の夫から告げられたのは、数日後でした。全盲で光さえ感じられず、表情も乏しく、生活音に対して過度に敏感で、この子は一生美しいものも見られないのかと涙が止まらなかったそうです。
二人で過ごす昼間は、いつ子さんの好きなクラシックやジャズ、ポップスのCD
をいつも流していました。ブーニンが演奏するショパンの『英雄ポロネーズ』もお気に入りの1枚で8カ月頃に伸行さんは曲に合わせてリズムを取り、別のピアニストに替えると、途端に不機嫌になり、足の動きも止まってしまったそうです。少しでも心が豊かにという願いから1歳5か月の時にピアノの先生につきました。息子が3度目のクリスマスにいつ子さんが『ジングルベル』を口ずさんでいた時、隣の部屋からピアノの伴奏が聞こえてきて、あわててふすまを開けると、10本の指を使っておもちゃのピアノを弾く伸行さんの姿にびっくりしたのです。まだ、おむつも取れない2歳3カ月の息子が、歌に合わせて演奏していたのですから・・・
見えない世界は『暗闇』ではない、音楽を楽しむ姿に救われたと言われます。
また、羽生結弦さん(27)の自称ファンの私ですが、プロに転向されることになりました。フィギュアスケート男子で五輪2連覇を果たし、国民栄誉賞を受賞され、クワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑戦し国際スケート連合(ISU)公認大会で初めて認定されたのはすごいですね。しかし、私の思いは彼の音に対する世界があるから魅了されてきました。勝負の世界ではありましたが、求めていた姿は競技ではないと思ってきました。彼の音へのこだわりは体を動かすことをやり続けてきた私にも、僭越ながら理解できることがあります。少しは舞台にも関わってきた自分の感覚の原点でもありました。音といっても音に動きを合わせることではありません。からだのエネルギー効率を高めるというのでしょうか。呼吸と全身の繋ぎが表現となる源であると感じています。勝ち負けではなく規定にしばられることなく自分の喜び、哀しみ、いたわり、表現といっても作られたものではなく、心に溢れる想いで生きること・・・『生きる』そのものが、自分の証であること・・・羽生結弦さんのこれからが、表現者として求め続け、人々の道標でありますように願っています。
そして、微力ながら自分もそんな思い、生きかたを目指してみたいと思います。
今日は、辻井伸行さん、羽生弦結さんに、そして自分にもエールを送りたいです。
URL http://www.shintaisou.j
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